伝承のともしび ― 合氣道開祖・植芝盛平の教え ―
「この植芝の教えや心を誰が伝えるのだ!
それが必ず君らの修業の糧となるだろう。」
内弟子が語り継ぐ、合気道開祖の心
【 詳細 】
若き日、内弟子として全霊をかけて合氣道修行に臨んだ五月女貢師範。
師である合氣道開祖・植芝盛平の言葉一つひとつが、今も鮮明に湧き出てきます。師から学んだのは合氣道の技ばかりでなく、あらためて知る日本人の心、そして世界への想い。
本書で語られるのはまさに、「さむらいの心」です。
【 著者メッセージ 】
合氣道の世界的な普及が、単純な日本の伝統的なものへの異国趣味にとどまっているとすれば、それは開祖の夢ではなく、開祖の本当の祈りとするところではありません。現在アメリカ、ヨーロッパ諸国に日本人以外の合氣道家がたくさん育っており、その国において立派に指導者として活躍しております。生まれ落ちた国と、宇宙の中の一つの惑星(地球)として神より与えられた生命の国という二つの国に生きているのが現実中の真実であります。合氣道とは生命の道であり、世界の道であり、自然界と共存していかなければならない人類の道であります。
合氣道とは個人のものでも、一つの組織や国が専有するものでもなく、全人類が共有し、向上していかなければならない世界的文化であります。(「はじめに」より)
【 推薦の言葉 】
2005年の米国コロラド合気道セミナーで出会って以来、五月女先生との親交を深めてこられた宇城憲治先生より、五月女先生の新刊の推薦文をいただいた。
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合気道開祖・植芝盛平先生の内弟子であり、現在もアメリカはじめフランスなどで活躍されている五月女先生が、当時の盛平翁の教えをわかりやすく説かれた、貴重な資料とも言える本です。
それは合気道のみならず全武道に通じ、また武道をしていなくても人間としての生き方が説かれており、まさに混沌とした「今」に必須の本だと言えます。座右の書にしたい本です。
空手道 範士八段
全日本剣道連盟 居合道教士七段
宇城塾総本部道場 創心館館長
宇城憲治
【 著者プロフィール 】
五月女貢 さおとめ みつぎ
合氣道スクールズオブ植芝主宰
1937(昭和12)年3月7日、東京都出身。フロリダ在住。
1954年10月、鍬守道場に入門。植芝吉祥丸、山口清吾に師事。
1961年4月、合気道開祖 植芝盛平の内弟子として正式に本部道場生となる。
以来20年間、開祖の薫陶を受ける。
1975年5月、合気道指導普及のため渡米。一時は合気会からは独立してAikido Schools of Ueshibaの首席として活動したが、1988年1月、財団法人合気会本部の正式な承認があった。
アメリカ、カナダ、フランスなどで活動。
1991年4月、ワシントンDC市議会および市長より名誉市民の称号と感謝状を贈られる。
1994年3月、アメリカにおける長年の合気道指導に対し感謝状を贈られる。
著書に、英文はじめ9ヶ国語で出版された『AIKIDO and the Harmony of Nature』と、『The Principles of Aikido』(いずれも日本語未訳 Shambhala社刊)がある。
目次より
はじめに
第一章 合氣道の創設
合氣道開祖 植芝盛平先生
合氣道とは宇宙科学の姿を「武」に表わしたもの
二代合氣道道主 植芝吉祥丸先生
合氣道の原点を保つ
第二章 宇宙に生かされている生命体 ―― 生命の産屋
永久に躍動する宇宙
「空」とはすべての形の源
宇宙の実相とは「空」から「色」を生じること
合氣とは宇宙の諸法則を体現したもの
生命は努力によってのみ保たれる
人間の重要な務めは生命を繁栄させること
自己の中に宇宙の働きを自覚する ―― 宇宙に生かされている生命体
地球中心説から有機体世界観へ ―― 宇宙は調和した不可分のもの
なんらかの秩序によって生かされる生命
人間生命の根源を知ることが神の愛、武の極意につながる
第三章 武道の精神的使命
武は文の「体」であり、文は武の「用」である
観念論ではなく、実践論に立つ武士道
オールマイティな武の機能
武道と礼儀について
平常心を保つ
武士の歴史
武術から武道へ
「さむらいびと」の使命とは(開祖口伝)
第四章 武道としての合氣道
技の世界を超越した境地
自己に与えられた天の使命に打ち克つ(開祖口伝)
合氣道は「天の岩戸開き」(開祖口伝)
合氣の技は円 (開祖口伝)
智仁勇を胎蔵して修業せよ(開祖口伝)
表裏一体の剣と体術
相対界から安心立命の境地へ
第五章 合氣道修業者に望む ―― 宇宙の心に調和してこそ
受身を取ることの意義
入身転換 ―― 死中に活を得る
守破離
攻守一体の武術
謙虚さと相手への思いやりを持つ
自然の営みと調和し、自己の昇華に向けて
練習場の心得
道器一致
兵法とは常の身なり
天地の真象を無駄に見過ごすな!
地上にうるわしき世界をつくる
第六章 一切のものの内に神なる大愛を見よ ―― 大先生を偲んで
超個的意識への旅立ち
努めて心の修業と養成を自己の成長に課せ
人は食べるために生きているのではない
最中の心配り
自分の中に宇宙生命と森羅万象を観よ
争う心が消えうせた
自分の使命を大切にしてこそ
礼儀と霊儀
周りのものすべてを武器に仕立ててしまった人間の愚かさ
自己が宇宙と合体した時
第七章 世界の中の日本
国際社会で生きるということ
若い世代に自信と方向性を与えるのは我々の使命
日本的思考様式について ―― 「あいまいさ」が意味するものとは
日本人の持つ思考の柔軟性
「見習い」は単なる「物真似」なのか
自然への畏怖が「思いやり」を生む
言葉の制覇できない直観的世界
現代に生きる「さむらい」の心
世界が日本から学び得るもの
おわりに ―― 異郷の地にて
大志をいだいて
合氣道家は草の根外交官
正しく歴史を知り、学ぶ
子孫の永続のために
(A5判 ハードカバー 192ページ)